私は翻訳歴が29年以上あります。
もっとも困るのが、新しい英語の専門用語です。それに対応する日本語が世の中にない場合、どう伝えるべきかを考えなければなりません。
そこで、信頼できそうな英語のサイトをインターネットで探し、英語での意味を理解します。次に、信頼できそうな日本語のサイトを探し、部分的にそれに近い表現を見つけ、それらを組み立てることで、最も意味が近い、聞いてピンとくる和訳を試みます。
信頼できそうなサイトというのは、業界団体、政府、大手企業、調査機関など、プロのウエブサイトです。英語でも日本語でも複数の情報源を参考にするよう心掛けています。
AI翻訳を試すと、新しい用語の場合、意味不明な直訳になったり、単にカタカナに置き換えられたりすることが多いため、今のところあまり参考にはなっていません。
この作業は、1つの用語について1〜2時間かかることもざらにあります。ですので、1つの原稿に定訳のない用語が6つあったとすれば、調べるだけで1日が終わってしまうことになります!
その一方、翻訳は予め決まった納期までに仕上げなければなりません。「検索が大変だったので納期に間に合いませんでした」という言い訳は通用しないのです。
翻訳を発注してくれるお客様の中には、「分からなかったら聞いてくれ」と言ってくださるところもあります。しかし、お客様が外資系企業の日本現地法人である場合、これをすると海外の本社に問い合わせることになり、返答がいつ来るのか全く分かりません。そのため、翻訳の納期に間に合わなくなる可能性もあります。
以上の理由から、定訳のない英語の専門用語については、予め調べておくことにしました。そして、私以外にも翻訳に困っている方がいらっしゃるかもしれないので、本ウェブサイトで公表することにしました。
言葉には著作権がないそうなので、本用語集でお勧めする訳を自由に使っていただいて構いません。私も日ごろから多数のウェブサイトから情報を得ているので、世の中、持ちつ持たれつです。