環境関連株は分野間で短期的、長期的に連動するのか?

2014年に英国で27%、米国で11%の運用資産が環境に関連する資産でした(英国投資運用業協会   (Investment Management Association)調べ)。

環境投資には5つの分野があります。代替エネルギー、クリーン・テクノロジー、グリーン・ビルディング、持続可能な水資源管理、汚染防止です。

これらの5つの分野の間で株価の連動性はあるのでしょうか?

原題:「Do Short- and Long-Term Environmental Investments Follow the Same Path?」

著者:Vítor Manuel de Sousa Gabriel1、David Rodeiro-Pazos

掲載紙:Corporate Social Responsibility and Environmental Management 2017年7月4日

 

観測期間:2009年1月20日~2016年2月19日

データ

  • MSCI指数
  • グローバル市場における日次データ1848 件
  • 指数の構成銘柄は、売上の50%以上を環境関連事業から得ている企業

 

以下の5種類の指数がある

  1. 代替エネルギー
  2. クリーン・テクノロジー
  3. グリーン・ビルディング
  4. 持続可能な水資源管理
  5. 汚染防止

 

実証方法

  • ジョハンセンの共和分検定
  • エングルの条件付分散不均一多変量モデル

 

仮説1および検証結果

異なる種類の環境関連株価指数の間には長期的にみて一定の相関がある → 棄却。

仮定2および検証結果

異なる種類の環境関連株価指数の間には短期的にみて一定の相関がある → 相関関係が確認された。さらに下落時にボラティリティが大きくなることが分かった。

結論

短期的にみると全ての環境関連分野はあっという間に連動してしまいます。そのため単純に分散投資を行なえません。

しかし長期的にみると環境関連分野同士の連動はありません。したがって環境関連株は、持続可能性の問題を妥協することなく、運用目標を大事にしながら、グローバルに分散投資を行なう機会を提供します。

 

私の感想

環境関連株に長期的な分散投資効果があるということで、よかったです。

異なる市場が下げ相場の時に強い相関を示す、という現象は不動産でもあったと思います(REITと原資産の不動産の相関)。人間はネガティブなことに同じように反応するのでしょうか。

ARCHモデルとGARCHモデルについてCAIAでさらっと習っただけでした。翻訳者の私はもっと深く知るべきかどうか悩みます。統計学の勉強には終わりがありません。

 

 

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