キャピタルゲイン課税がベンチャーキャピタルの投資に
与える影響

ベンチャー・キャピタル(VC)の投資活動を促進する政策が世界中で取られています。

しかし税制がベンチャーに与える影響は完全に明らかになっていません。

キャピタルゲイン課税の税率は、VCの出資を受けられるベンチャー企業の数やベンチャーの成功に対し、どう影響するのでしょうか?

原題:「The Capital Gains Tax: A Curse but Also a Blessing for Venture Capital Investment」

著者:Carol Bock、Martin Watzinger

掲載紙:Journal of Small Business Management  2017年11月20日

結論

  • キャピタルゲイン課税の税率が高いとVCから出資を受ける企業の数が減少する。
  • 税率が1%上昇するごとに初期ラウンドの出資を受けるベンチャーの数は、人口1千万人につき1.44社減ります。例えば米国の場合、税率が5%引き下げられれば、ベンチャー企業の数は16.4%増える。
  • キャピタルゲイン課税の税率が高いと、ベンチャーが2回目以降の投資ラウンドを受けられる確率も下がり、成功するベンチャーの数も減少する
  • しかし最初の投資ラウンド時にキャピタルゲイン課税の税率が高かった場合、ベンチャーが2回目以降の投資ラウンドを受ける確率が高くなる。(理由は不明)
  • 興味深いことに、キャピタルゲイン課税の税率が高いと成功するベンチャーの比率が高くなる。その理由は、成功確率が低そうな事業が最初からVCの出資候補から外されるためと考えられる。

 

私の感想

税率が高いとVCは投資対象をよりすぐり、少数精鋭のみに投資するので、かえって成功の確率が高まるものの、成功するベンチャーの絶対数は減る、という納得のいく結論でした。

社会にとっては成功するベンチャーの絶対数が増えた方が良い気がします。

日本でもエンジェル税制が導入されましたが、個人投資家のみに適用される制度であり、VCは特に優遇されてないようです。

 

 

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