大学基金はどのような期待を持って運用しているのか

米国の大学基金はポートフォリオのほぼ3分の1をプライベート・エクイティとヘッジ・ファンドに投資しています。こうした基金は、オルタナティブ投資の収益が株式と債券をどれほど上回ると考えているのでしょうか?

原題:「Investment Beliefs of Endowments」

著者:Andrew Ang、Andrés Ayala、William N. Goetzmann

掲載紙:European Financial Management  2018年1月

観察期間:2006年~2012年

データ

全米大学実務者協会(National Association of College and University Business. Officers:NACUBO)およびコモンファンド(Commonfund)に毎年報告される約800の大学基金の資産配分

方法

観察されたプライベート・エクイティとヘッジ・ファンドへの資産配分、オルタナティブ投資の過去の収益率、標準的な株式と債券のファクターに基づいて、大学基金がオルタナティブ投資に期待しているであろうアルファの値を推定する。

ベイジアンMCMC手法によりモデルを推定する。

Treynor and Blackのモデルを複数のファクターと資産に使用。

結論

大学基金がプライベート・エクイティに期待するアルファの平均は、2006年は1.39%でしたが、2012年には3.89%まで上昇しました。

ヘッジ・ファンドに対しては、2006年は0.29%だったのが、2012年には0.66%まで上昇しました。

 

私の感想

大学基金の期待を知りたいなら、アンケート調査で運用担当者に直接聞けばいいじゃない、と思ったのですが、800の大学に7年に渡って聞くのはおそらく無理なのでしょう。

私はイエール大学のスエンセン教授の著作「Pioneering Portfolio Management(邦題:勝者のポートフォリオ運用―投資政策からオルタナティブ投資まで)」を読んで感動しました。LTCMの破綻にショックを受けたのですが、イエール大学の成功が金融学の有用性を実証してくれたように思い、うれしかったです。

本研究の対象となった800の大学は、スエンセン教授並みに理論に基づいてオルタナティブ投資を行なっているのでしょうか?その辺も知りたいところです。

 

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